BEASTARS ビースターズ189話ネタバレ感想！命の毒、愛

2016年9月から、週刊少年チャンピオンにて連載されている「BEASTARS」。

2018年にはマンガ大賞、手塚賞を受賞し、アニメ化もされ第二期放送も決定している話題の「動物によるヒューマンドラマ」です。

舞台は、獣人の肉食獣と草食獣が共存する世界。そんな世界では、草食獣を肉食獣が襲って食べてしまう「食殺」が最も残虐で重罪とされています。

すべての動物を正しい方向へ導く存在「ビースター」を排出する名門、チェリートン学園である日、演劇部のアルパカ・テムがその「食殺」されてしまう所からお話はスタートします。同じく演劇部で事件の真相を探ろうと、現場をウロウロしていたハイイロオオカミ・レゴシがこのお話の主人公です。

事件をきっかけに草食が肉食を見る目が冷ややかになっていく中、レゴシは学園生活の中で様々な種族の動物と交流をしながら相手を理解し、成長していきます。ウサギのハルとの出会いで本能の中に「恋」を覚えたり、演劇部部長のアカシカのルイとお互い不器用ながらも友情を育んでいったり、出会いの中でレゴシも自身を知っていきます。

テムを食殺した犯人を突き止めた後、レゴシは学園を退学し一人暮らしを始めます。が、そこで新たな出会い、ヒョウとガゼルのハーフ・メロンに興味を持ってしまったことにより世の中のバランスも少しずつおかしくなっていきます。

大人の世界に介入したことで、学園では知り得なかった世界を知るレゴシ。異種族の祖父・ゴーシャと幼少期以来に交流を持つことで、多くの大人も悩み苦しんでいることを知り「誰もが平和に暮らせる世の中」にするため、各方面で戦いが始まります。

躊躇なく犯罪を犯すメロンの背景には、大人の身勝手に振り回された少年の葛藤があった･･･。
無関心・無責任の恐ろしさを目の当たりにしたヤフヤとゴーシャはどうする？

今回はそんな「BEASTARS」189話のネタバレを紹介します。

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前話までのあらすじ

停電後の街中で、ルイの生放送を聞いたメディアの質問攻めに遭うヤフヤとゴーシャ。そこに現れた特徴的な角を持つガゼルの男性。

「私メロンの父親なんですが、あの子何かしてしまったんでしょうか？」
その瞬間、ターゲットをヤフヤからその男性に移し質問攻めを行うメディア陣。

それを止めたのはゴーシャ！「育てた子供がどう育とうと、家庭を見世物にはさせない」
カメラを握り潰し、自身の毒を吹矢の要領で機材を壊し、マイクを折る！しかしけが人がいないことを心配し、毒のかかった機材は袋に包んで慎重に処分して手を消毒をしろ！と気遣うところはさすがレゴシの祖父といった感じ。

そして裏市と表通りを仕切る扉を毒で溶かし、メロンの父親の手を引いて息子に会わせようと走り出すゴーシャ！晴れ晴れとした表情のゴーシャとは裏腹に、ヤフヤは父親から妙な恐怖感を感じ取る。「息子さんに会ったら何て声をかけます？」と明るく切り出したゴーシャに、父親は「いやぁ･･･特に伝えたいこととかないんです」と素っ気ない返答。

メロンが赤ん坊の時に出て行ったから成長したかどうか見たかっただけです。若気の至りでメスヒョウと関係持ったけど結局肉食獣と一緒にいる覚悟なんてなかったんですよね。
世間の目線も痛いし彼女の愛も重くていつか食われるかもってヒヤヒヤで。そんな状況普通の男は逃げるでしょう。

ヤフヤが感じた異様な雰囲気は、自分勝手で無責任な大人の姿だった。
その事実を知ってか知らずか、レゴシと決闘中のメロンもどこか気を逸らしているように天を仰いでいた。その姿はごく普通の20代の青年だった･･･。

BEASTARS189話ネタバレ

鱗は悪意を映せるか

無責任に家族を捨ておいて、覚悟も誠意も悪意すら感じていないメロンの父親。なおも心無い言葉がゴーシャに突き刺さる。

「女って何であぁ夢見がちで愛されさがりなんでしょうね。妊娠させてしまったのは申し訳ないけど、ヒョウとガゼルの間に子供ができるなんて誰も思わないでしょう」

「つくづく子供って残酷な授かりものって言うのかなぁ」

逃げることができる男が少なからずこう思っているとしたら、何て恐ろしいでしょう･･･😨
保身に走るメロンの父親の言葉に、ゴーシャの爬虫類の鱗がザカザカと逆立っていく。元々は威嚇する時などに見られる行動ですが、ゴーシャは異種族で家族を作った者として過去を鱗1枚1枚に映し出すように鱗を蠢かせている。

まるで無数の眼球がついた怪物のような姿に映るのは、愛しい異種族の妻子だった。

ゴーシャの妻、レゴシの祖母に当たる美しいメスオオカミ・トキ。
ゴーシャに色っぽくキスを迫るが、ゴーシャは口ではなくトキの顔を曲げ、頬に口づけて即座に消毒液をかけてゴシゴシ磨く。

毒を持つ者として、愛する人を守るための行動なのです。しかしトキはロマンがないと不貞腐れる。仕方がないことだしゴーシャの愛はわかるけど･･･。

不満はあれど、ゴーシャとトキは異種族とは思えないほど幸せに日々を過ごしていました。産まれたばかりの娘・レアノを抱いて「この子は母さん似だなぁ」「性格はあなた似よ」と語らう夢のような日々･･･。

幸せは盲目･･･

体のかゆみを訴えるゴーシャのためにかゆみを抑える入浴剤を用意してくれるトキ。

オオカミは心優しい種族で美人が多い。そんな美女のトキが異種族でまして毒を持つコモドオオトカゲの自分と家庭を築いてくれたのが嬉しかった。彼女からの愛は身に余るほどだったけど煩わしいなどとは微塵も思わなかった。怪物扱いされている自分と暮らしてから調子がどんどん良くなっているんだ。

「そのままいろんなことを気にしなくなってほしいな」と、意味深な言葉を吐くトキに気づいていないのか、そのまま頬にキスをし、また消毒液でゴシゴシするゴーシャでした。

実際オオカミの妻子と一緒にいると今までのコンプレックスやしがらみを気にしなくなっていた。というより、愛を注ぎ合うことに忙しくて他に構っていられなかったのだ。メロンの父親が嫌がっていた「街を歩けばジロジロ見られる」も、ゴーシャは気にしていなかったのです。

トキの誕生日にベランダでパーティーをするゴーシャたち。
本当はレストランを予約したかったが、コモドオオトカゲの毒は嫌がられるから･･･というゴーシャに「これだって外食よ、どんなレストランより素敵」と笑うトキ。

「つくづく思うの･･･私、あなたといれて世界で一番幸せだって」

そしてゴーシャの口にキスをするトキ。･･･ん？

覚悟の愛の味

ゴーシャの口にキスをしたトキ。そのまま牙に舌を絡ませていた。

驚きのけぞるゴーシャ！即座に消毒液を噴射するが、中身が空。

汗をかいて大慌てのゴーシャを、トキは至極冷静に眺める。
バッと今まで消毒液の棚にしていた壁を見ると、消毒液の代わりに家族の写真が所狭しと飾られていた。「気づかなかったのね、あなた･･･」

「私が消毒液の中身を少しずつ減らしていたことも、ストックがなくなっていたことも」

「幸せな家庭に夢中になって･･･」

どうして･･･と佇むゴーシャに、トキは背中から抱きつく。
「あなたのコモドオオトカゲのコンプレックスを私が忘れさせた」

「私の勝ちね」
そう言って満足そうに笑うトキの顔は、毒に冒され手遅れになっていた･･･。

倒れ込むトキを力いっぱい抱きしめるゴーシャに聞こえたのは、「愛してる･･･ゴーシャ」という確かなトキの愛だった。

異種族を愛するということ。妻子を愛するということ。
それは命を動かすこと。安々と逃げるとかできることではないのだ。

「確かに君には種族の違いの関係における覚悟が足りなかったようだ」

そう言ってメロンの父親を押し倒したゴーシャ！
「今から知ったって遅くないぞ、覚悟ある愛の味」

恐怖で半開きのメロンの父親の口に、ゴーシャの濃い毒が注がれようとしている･･･！

BEASTARS189話感想・まとめ

レゴシの母・レアノがなぜ亡くなったかはわかっていましたが、祖母がどう亡くなったのかは明かされていませんでしたね。愛の覚悟ゆえの悲しい結末でした･･･😢

「そのままいろんなことを気にしなくなってほしい」というトキの言葉には、ゴーシャがコンプレックスに苦しんでほしくない、という意味と、自分が「幸せな家庭」を作るから幸せに捉われて消毒のことを気にしなくなってほしい、という、ゴーシャが一番嫌であろう「自分が犠牲になる」愛を悟られないための意味が込められていたのでしょう。

世間からの目が厳しい種族のゴーシャだから、それで今までたくさん苦しんできたから、トキは自分を身代わりにゴーシャの苦しみを幸せで上塗りしようとしたのでしょうか。命をかけたゴーシャへの愛。作者コメントで板垣巴留先生が「トキの名前は毒の名称『トキシン』から来ている」と書いていました。トキシンは薬の誤用などで毒素を産生する菌を生んでしまう症状で出る毒素。

毒×毒＝愛。トキやレアノは愛に耐えられませんでしたが、レゴシはどうでしょう？抜いた牙が得で再生しました。レゴシはトキの分までしっかり生きてほしいものですね。

そんな壮絶な愛を目の当たりにしてきたゴーシャだから、メロンの父親のあまりの身勝手さはどうにも許せないのでしょう。逃げるのが当たり前でしょう、ではないのです。目の前にいる怪物・ゴーシャは、逃げるどころか大事に愛したのに妻子を失ったのですから。

無責任な父親に降り注ぐ愛の鉄槌！どうなる！？
次回も楽しみです！