BEAST COMPREX8話ネタバレ感想！イメージに悩まないで

2021年6号から、週刊少年チャンピオンにて連載が始まった「BEAST COMPREX」。

板垣巴留先生の話題作「BEASTARS」の原点にして珠玉のオムニバスと称されている作品です。「BEASTARS」の世界はそのままに、獣人世界の別の視点から様々な種族同士の関係から起こる問題や悩みを、人間よりリアルなヒューマンドラマで描きます。力強い筆遣いや美しい背景描写も健在な中「BEASTARS」の登場人物が出て来たり、前作からのファンには嬉しいサプライズもあったり･･･？

今回はそんな「BEAST COMPREX」8話ネタバレを紹介します。

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前話までのあらすじ

今回は前作の主人公、ハイイロオオカミのレゴシとドワーフウサギのハルが登場！

久しぶりのデートなのにつかず離れずといった感じのレゴシとハル。不器用なレゴシにハルはいよいよ不安を感じて来ているようで。ちょっとした時に体重を預けるなどはしてくれるけど基本レゴシはスキンシップ少なめ。キスだって付き合って1年経つのに5回以内！？これじゃ私たち一生このまま･･･？

ハルがモヤモヤ考えていると突然「来週成獣式だよね、写真送ってね」と言い出したレゴシ。すると今度はハルが神妙な面持ちで「お願いがある」と言ってきた。成獣式の後に「牙落式(がらくしき)」というお祓いの儀式があるんだけど、微妙な空気になるかもだけどよかったら来てほしいとハル。ハタチを迎える前に肉食に傷を負わされた草食が牙落式に行って負わせた肉食本人に清めさせれば草食は今後肉食の脅威から守られる、といった儀式。ハルはレゴシと出会った時腕につけられた傷があるので一応誘ってみたのだが、義理堅いレゴシは「俺がつけた傷だから行かせて頂く」と参列を決意。

振袖に袴というきらびやかな衣装に身を包み、牙落式に並ぶレゴシとハル。儀式の参列者が多いことにレゴシは驚きながら「みんなどんな話をしているんだろう」「どんな事情が」などと考えてみる。それぞれのコンビは性別も種族もバラバラで、でもみんな義理堅く並んでいるわけで。一番の大けがを負わせたルイ先輩は同じ件で5人言われてるけど演劇部メンバーのビルと行くと決めてたみたいだな･･･

みんな逞しく見えるな。そりゃそうか、放っておいても治りやすい体質でありながら一緒に向き合うことを選んだ動物たちなのだ。
前のコンビが何やら揉めているのを眺めながらいよいよレゴシとハルの番。レゴシがハルの傷に聖水をかけ、専用の手拭いで傷を拭う。するとハルがこんなことを。

「本当はお清めなんてどうでもよかったんだ。これって結婚式みたいで楽しくない？」
「この傷は初めて出会った時の傷だよ。だから撫でるくらいでいいよ、御利益なくなっちゃうから」

その言葉を聞いてレゴシ、ハルの傷にキス！
途端に真っ赤になるハル！ちょっと怒った様子の神主に追い出されるように出ていくレゴシたち･･･💦

道端でジュースを飲んであの儀式の後にしては安すぎない？などと言いながら「ハタチおめでとう、これからもよろしくね」と笑い合う2匹は、後ろ手をがっちり握っていたのでしたｗ
ちなみにルイとビルは、ビルの不器用さでルイの200万の袴を濡らすというオチがつきましたとさ☆

BEAST COMPREX8話ネタバレ

最初からクライマックス！？

学校の廊下をスルスルと進んでいく1匹のニシキヘビ。僕は毎日一番乗りで登校する。誰もいない中学校の地響きがない地面を這うのが心地いいから。どうやら今回の主人公はこの中学生のニシキヘビのようです。

ガラッと教室を開けると、1匹の生徒が首を吊っているという衝撃的すぎる光景が！！！
「わ━━━━━━！！！！」ニシキヘビの少年も当然の如く驚いて叫ぶ！！！💦蛍光灯に結ばれた縄と倒れた机と椅子。十中八九首吊り自殺･･･！💦

ニシキヘビの少年は必死で首を吊っている生徒にしがみつき上の方に登っていく。体温が少し残っている、ついさっきまで生きていたんだと思い、動揺を抑えながら生徒の縄を必死で嚙み切った。どさっと落ちる生徒。息をしていない彼を見て「君･･･だったのか･･･」と思わず語るニシキヘビの少年。首を吊っていた生徒に見覚えがあったようです。

いじめっ子のハイエナ・ムロウ。彼はわざと彼を蹴り「縄跳び落ちてると思ったらお前かよカメジ、ぼーっと歩いてると邪魔だぞ？あ、歩いてないのかｗ」と笑うような奴。ニシキヘビの少年は名前を「カメジ」というそうです。

何でだよ、何なら一番自殺から遠そうな君が･･･いや自殺とは限らないのか？でも首吊りだぞ？わからない、とりあえず先生を呼んで･･･呼んで？そう考えて倒れるムロウから視線を外して固まるカメジ。

いやいやいや！！僕はただの第一発見者だし助けようとした！！でも、この状況どう見られる！？いじめられた奴がいじめっ子の自殺をたまたま発見するなんて･･･しかもよりによって首吊りなんて、僕が締め上げたと思われるかも！？

ヘビは陰湿で何を考えてるかわからないから、みんなお前を遠ざける。
全部ムロウに言われたことだ。死んでも尚、僕は君を･･･
言いかけた所で足音が聞こえた。見つかったら何を言われるか･･･！カメジがとった行動とは･･･！？

見つけられなかった「きっかけ」

ガラッと女性教師が教室の扉を開ける。
「おはようカメジくん。今朝はずいぶんと朝ごはん食べてきたみたいねぇ」

おはようございます先生･･･と引きつり笑顔で挨拶するカメジのおなかが大きく膨れ上がっている。まさか･･･
しかし教師は気にせず「4限目の体育までには消化するようにね」と言って去って行った。そう、カメジはクラスメイトを飲み込んでしまったのだった。

咄嗟に隠そうと思って飲み込んだら案外入ってしまったムロウ。こんなパンパンなおなか見られた時点でアウトじゃないのか？怪しまれたらどうする！？
と、カメジの心配をよそに時間は残酷に過ぎていく。別段生徒も先生も気にしていない様子で、いつも通り座学の時間が流れていく。大きな体を抱えたまま、「今日1日あればたぶん体内でほぼ溶かせられる･･･」とぼんやり考えるカメジ。自身の背骨が気を失ったムロウの体に張り付いている体内を想像し･･･

ゾクッ！と背筋を震わせるカメジ！
うかつなことを言うな！ムロウに聞こえる気がする･･･ムロウはハイエナと言いながら軽くて骨っぽい体をしているな。あんまりご飯食べてなかったんじゃないか？休み時間、おもむろにムロウの机に向かうカメジ。

どうして自殺なんてしたんだろう。彼の鞄に遺書でもないかな。
手足のないカメジが尻尾でムロウの鞄をひっくり返したが、筆記用具に教科書、ノートといった普遍的なものしか出て来なかった。思わず「？」となるカメジ。その後も彼のロッカーを見てみたが、副教科の教科書数冊が入っているだけだった。他の生徒は勉強道具だけでなく部活で使うものや友人とやり取りしたであろう雑紙など、たくさんの情報があったのに。

調べれば調べるほど、彼を物語るものは何もなかった。趣味、特技、好きな子、友達さえも見えてこなかった。
「カラッポだ･･･」思わずそう呟くカメジ。

「さすが大悪党のハイエナ！お前の嫌がらせ本当エグいな～！」と喚き立てる取り巻きはいたけど、あれはきっと友達ではなかったんだ。そんなことを思い出しながら重たいおなかを抱えて階段を上がるカメジ。一体どこへ･･･？

演じ続けた「苦しみ」

「お前は冴えないヘビだろ！？俺は、俺はなぁ！！」
そうカメジに詰め寄るムロウの思い出。しかしムロウはその時に自分は何なのか答えが出なかったんでしょう。

「君はきっとやさしいハイエナ」
おなかに入っているムロウを抱きかかえるように屋上で語りかけるカメジ。そこでぼんやりムロウについて考える。

皆が描くハイエナのイメージを演じ続けるため、悪ふざけして騒いで怖がらせて自分を形作ろうとしてたんじゃないのか。思い過ごしかもしれないけど、そうして苦しんでいたんじゃないのか。

「ここで君の遺体を吐き出して先生に引き渡すよ。僕はどんな容疑をかけられても仕方ない･･･」
そうカメジが呟いた途端、ズンッ！とうねるカメジの体！思わず「うっ」と声が漏れる！一度口を開けてみるが何も出ない。すると再びズズン･･･とうねる体！もしかしてこれは･･･！

「ムロウ、君なのか生きているのか！？聞こえたのか！？」自分の腹に向かって話しかけるカメジに応えるかのように、背中が盛り上がる･･･！尻尾の方へ行ってしまうと「うぐっダメだ！！」

「奥へ押し入らないでムロウ！！これじゃ2度目の自殺だ！！本当に吐き出せなくなる！！大丈夫だ、全部許すから！！せーので元気に戻ってきてくれよ！！」

せー･･･で上半身を高くのけぞらせ、のっ！！で一気に腹に力を入れ、まるで鉄砲玉のようにムロウを吐き出した！！べちゃんっと地面に叩きつけられる胃液まみれのムロウ。

ムロウはむくりと起き上がって「よりによってお前かよ･･･最悪だ」と「悪党の顔」でカメジを睨む。
しかしカメジはそんなムロウに近づいて、ムロウの体に長い体を巻き付けた。冴えないヘビなりに不器用なムロウを抱きしめた。そのまま2匹は屋上で話し始めた。

「いつから意識が戻ったの？」「俺のことカラッポだとか言いやがった辺りから･･･許さねーカメジ」「そこからか･･･よかった」「何！？」「いっいやいや💦」そんな会話をする2匹の頭上にチャイムが鳴り響いた。

BEAST COMPREX8話感想・まとめ

今回は中学校でのリアルな問題といったお話だったでしょうか。意外と「外部からのイメージ」に捉われすぎて自分の自由にできない、という苦しみを持つ学生は多いのかもしれません💦その辺、板垣先生の描写がすごいなと思います･･･💦

自殺という生々しくも避けて通れない問題を、動物に置き換えて向き合う機会を作った板垣先生の「願い」も込められているのかもしれませんね。おせっかいかもしれなくても助けられるものなら助けたい。ちょっと予想外だったし「死に損ないを腹に入れてかくまう」という方法も恐ろしいとは思いますが･･･💦

そして事を見てしまった者としての悩み。しかもいじめっ子といじめられっ子の関係だと、「今までの腹いせに」と言われて容疑がかかるのは必然とも言える。そこも残酷なんですよね。別にそんなつもりないのに「動機があるのはお前」と言われてしまい、第二の自殺を生んでしまうかもしれない･･･いじめっ子にも悩みや苦しみがあるし、いじめられっ子にはいじめっ子の問題が取り上げられて時間差で悩み苦しみがのしかかってくる。何とも残酷な悪循環ですよね･･･なくすことはできないのでしょうか？

大きなおなかをしているカメジを見て何も気にしない教師たちや他生徒たちの反応も怖いですよね💦無関心というか、カメジにも「イメージによる悩み」がありそうですよね？これを機にカメジとムロウが友達になれれば一応ハッピーエンドではあるのでしょうが、またこの学校では同じような事件が起きそうで怖いですよね･･･

いじめられっ子って割とタフで、むしろいじめっ子の方がナイーブだったりしますよね。現代社会はなぜいじめられっ子に責任を押し付けていじめっ子を放置するんでしょう？それを改善しないと悪循環はなくならないと思うけど･･･
今回は生々しい問題と社会への警鐘でもあったと思います。次回はどんな問題がぶつけられるか･･･
次回も楽しみです！