BEAST COMPREX3話ネタバレ感想！臆病者よ羽ばたけ

2021年6号から連載が始まった「BEAST COMPREX」。2020年10月まで連載していた板垣巴留先生の「BEASTARS」の原点、デビュー作が「スピンオフ」に変身してチャンピオンに帰ってきた！なのでこの世界も「獣人」の世界となっています。

動物である「獣人」の世界も、それぞれの種族に悩みがあって他種族とのギャップに苦しみながらも互いに長所を見つけて何とか生きている。その多種多様な苦しみや悩み、喜びをリアルに描いていきます。今回はどの種族の掛け算が見られるのか･･･

そんな「BEAST COMPREX」3話ネタバレを紹介します。

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前話までのあらすじ

2話目は「柴犬と柴犬」。

「絶対的愛され顔」と謳われカレンダーの売り上げが上々な柴犬・ムギは、写真こそかわいいドレスに花といった可愛らしいものだけど実は「コーポ伏獣」に住む食っちゃ寝生活の中年オヤジ犬だった！

世の中はちょっとでも可愛ければ「絶対的愛され顔」なんてレッテルを貼ってもてはやすし確かにそれで食っていけてるからいいものの、ムギ自身はそろそろ限界だなと思っているようで。新人モデルで正真正銘メスのポメラニアン・リリアを見て「お互い喧嘩っぱやい性格なのに大変だよな」なんて言って煙草の煙を吐き出すのでした。

俺がこんな仕事してるのって何でだっけ。フリーター時代に純潔の柴犬だと言ったらグラビア撮影されてそのままずるずる来たんだっけ。歳をとるほど俺はまがいものになっていく･･･そう思いながら行きつけのコンビニに行くと、同じく柴犬のアルバイトくんにニコニコ接客され、あんな時代もあったな･･･と一応毛ツヤを気遣うお菓子を買ってぼんやり思うムギ。

「太ったネコは愛嬌あるけど太ったイヌはみじめなだけだ！」とマネージャーにキッパリ言われたことでもう一度モデルとして可愛くいようとしたムギに通行人のトラ2匹がずけずけと声を掛けてきた。
「えーおっさんじゃん！？もう世代交代とか絶対的愛され顔にも限界が、とか言われてたし･･･」と好き勝手言うトラの1匹をムギは投げ飛ばし、「俺は一度も愛して下さいなんて言っちゃいねーんだよ！！！」と夜の街で吠えた･･･。

あっという間に週刊誌に撮られ「もうクビだろ、可愛くない柴犬なんて誰も見ない」と言うムギにマネージャーは「キレやすい方へチェンジしよう」と提案。ムギはもう諦めた感じで大量の酒、煙草、ジャンクフードを買い込む。その姿をきょとん顔で見つめるいつもの柴犬のアルバイト。

「小さな柴犬がトラに怒りの鉄槌なんてかっこい･･･私もあなたみたいな柴犬になれればな」その言葉を受け取り、何気なく撮られた咆哮する自身の姿を拡大コピーし、今までのカレンダーの上に貼るムギ。

「意外とアリか？いやまさかな･･･」そう言いながら酒の缶を開けるムギの表情は何だか上向きなのでした。

BEAST COMPREX3話ネタバレ

白すぎる中での「斑点」

この街の住民が牛乳を好む理由は「白いから」。そんなことを考えながら一人牛乳をコップに注ぐのはアルビノのカラス。アルビノカラスは真っ白で、赤い瞳を持つ者もいます。

ここは0地区。家、道路、店、ポスト、住民に至るまで真っ白な街。一点の曇りもないこの街を歩く彼を呼び止めるオコジョの男も真っ白だ。「エビス！集会一緒に行こうぜ」どうやらアルビノカラスの彼の名はエビスと言うらしい。

17地区でシロクマが惨殺されたことを受けて0地区の住民が集められて会議をするようです。「やっぱりブライトが0地区を出歩くなんて文字通り自殺行為だな」とオコジョは言う。
僕らは全身真っ白な動物を「ブライト」と呼ぶ。部分的に白いものは多いが全身真っ白な者はそうそうおらず、希少価値が高いからと命も狙われやすいのだとか。そして0地区にはブライトしか住めないようにして秩序を守っているようです。

すると「君も集会？」とオコジョが誰かに声をかける。その前には真っ白なカンガルーの女性がおり、オコジョは彼女を「オリオン」と呼んだ。あまりに美しいオリオンに思わず固まるエビス。

「ブライトとは光り輝くという意味！我々0地区区民は光り輝く尊い存在！互いに助け合いましょう」何だか宗教的な集会に3匹は参列する。ブライトは肉が美味、毛皮に価値がある、骨が魔除けになるなどの理由で狙われやすいということに怯えているような街だと宣言しているよう･･･そんな中、エビスはオコジョにオリオンについて尋ねる。エビスはオリオンという女性を全く認識していなかったようです。

「あのメスカンガルーは有名だよ。オリオンってのは知る獣ぞ知るあだ名。あの子の股にオリオン座みたいな斑点があるんだ」その言葉にギョッとするエビス。「なぜお前がそんなパーソナルスペースの斑点について知ってる？」「生で見たからさ、この街のオスはほとんど見てるよ」

「あの子この街に住むためなら誰とでも寝るから」
美しい白い顔に伺える、儚げな表情。彼女は何だかドス黒い現実に蝕まれているようです･･･

君を汚したくないから

その集会後、真っ白な公園で真っ白なエビスは泥浴びをしていた。まるでやけを起こしたように激しく音を立てて、白い羽根を泥まみれにしていく。

「何してるの？」突然声をかけてきたのは、例のオリオンだった。あなたさっきの･･･とオリオンが言ったことにより、エビスはオリオンとコンタクトを取れた。君こそ何してる？とエビスが尋ねると「泥だらけのアルビノカラスを見てる･･･」と呟くオリオン。「放っといてくれこの街に嫌気がさしてるんだよ！」と依然激しい泥浴びをやめないエビスに「動き面白ーい。お笑い目指してるの？」とパッパラパーなことを言って見せるオリオン。

ホラやっぱり噂通りの中身カラッポ女じゃないか、なのに！！なのに、何て綺麗な･･･
綺麗な瞳でオリオンは「ねぇねぇ、あなたもオリオン座見たいの？」と尋ねてきた。

私ブライトじゃないけど、この街のオス全員と関係持ったらこの地区に住み続けていいって大人達に言われてるの。

オリオンの重すぎる言葉に思わずポカンとするエビス。
この街は白すぎてまぶしすぎて夜空の星が見えない。だからと言って君の斑点を唯一の星としてすがりたくない。僕だけは君をオリオンと呼ばない男でいたい。綺麗だ、そんなオリオンなんて見たくない。

エビスがそう考えている間にも「厳しいけどそれが決まりだもん。あなたさえよければ･･･」と続けるオリオンに、エビスは泥を投げつけた！べちゃ、とオリオンの服に黒い泥がつく。

「どうせ股に斑点があるんだろ？だったらどんなに泥だらけになったって同じじゃん！なんちゃって、あは、あははは･･･」真っ白な街の夜に響くエビスの空笑いと、「パチン」という音･･･

次の日。ミルクスタンドでバナナミルクを提供するオリオンに、客のウマの男が「今夜ヒマ？事情を知ってる先輩がどうしてもってさー」とオリオンを軽く見ている発言。いいけど、と言いかけたオリオンの前に「生乳100％エックスラージサイズ1つ」と出てきたのはエビス。右頬にくっきり手形が･･･

帰ってよ、というオリオンに「どうして？僕はたっぷりタンパク質をとってマッチョになりたいから注文している。この街でぼんやりバナナジュース飲んでる子供とは違うよ」とウマ男を平然と煽りながら、「昨日のこと謝りたいんだ、バイト終わるまで待ってていいかな」とエビス。黙るオリオン、どちらを選ぶのか･･･

飛び出せ、殻を破れ

その夜、エビスとオリオンは歩き疲れるまで街を並んで歩いた。

歩きながら「私の斑点後天性なの」と切り出すオリオン。代々ブライトなのに私だけ12歳の時に股に斑点が現れだしたんだ。それ見た両親がパニック起こしてこの街の大人に知れ渡っちゃった。
「だから大人たちの要求を受け入れた？」と尋ねるエビスに「0地区から出るなんて考えられないもん、外の世界は恐ろしいってずっと言い聞かされてきた」とオリオン。

エビス「僕はこの街の方がよっぽど恐ろしいと思う」
オリオン「あなたもこの街から出られてないくせに。あなたも同類、0地区は皆弱虫の卑怯者」
エビス「僕は皆と違うよ。君に好かれるまで君の斑点は見ないと決めてるから」

そこまで言うと「あ･･･」と声をあげ「あれオリオン座？」と空を見上げるオリオン。つられて見上げるエビス。

ガバッ！！！突然エビスを覆う袋！！？？
「エビス！！！」オリオンが叫ぶと、エビスは黒猫2匹に袋に詰められていた！！「アルビノカラスは高くつくぞ」「若くて活きがいい上物だ」どうやら「アルビノ狩り」といった犯罪者のようです･･･！

袋の中で暴れながら「僕に構わず君は逃げろ！！」とオリオンに叫ぶエビス！大人しくしろ！と手を焼く猫たち！「あぁ･･･私たち歩きすぎて0地区から出てたの気付かなかったんだ。これが外の世界？」割と冷静にしているオリオン。エビスが襲われて恐ろしい所ではあるけど、街に彩りがあった。犯罪者も真っ黒。初めて見る色だった。

げしっ。騒ぐ猫の犯罪者に強烈なカンガルーキックをお見舞いするオリオン。女性とはいえカンガルーの後ろ足キックはネコ科には強烈すぎます💦吹っ飛ぶ猫たち、袋から出てくるエビス、蹴り上げたオリオンの内股に一瞬見えたオリオン座の斑点･･･

猫たちが伸びている間にオリオンはエビスの手を取り、2匹は満面の笑みを浮かべて0地区を抜け出した。その行く先には「コーポ伏獣」。僕らはその日、初めて0地区に戻らなかった。

BEAST COMPREX3話感想・まとめ

今回は「真っ白な街」から抜け出せないアルビノカラスとカンガルーの話でした。「ブライト」は素晴らしい、とでっち上げて「完全なブライトでなければ住めない」なんて、そんな窮屈な街願い下げ！と自分ならなるのになと思いました💦そういえばエビスもオリオンもビールの銘柄ですね。エビスはわかりませんがオリオンは未成年っぽく描かれているのに･･･

でもエビスのように「ブライトで生まれてしまった」からこそ0地区という宗教と洗脳の街みたいな所から抜け出すこともできず苦しむ者も他にいるのかもしれませんね。オリオンは完全なブライトでないから住めないことで悩んで大人に利用されていましたが、互いの悩みを共有したことで抜け出す決意ができた。エビスが0地区から抜け出すにはオリオンが必要だった、ということでしょうか。性行為でない理由でオリオン座を見れたことも、他の0地区住民とは違うという証明でしょう。

それにしても、オリオンの本当の名前は何て言うんでしょう？それも「僕は君に好かれるまでオリオン座を見ない」と宣言できたエビスにのみ知らされたんでしょうか。肉眼で本物のオリオン座を見られた時に、2匹はもう殻を破れていたのかもしれませんね。

きっとまだどこかで種族の悩みを抱えた誰かが出会って、いつの間にか打破しているのかもしれません。そう考えるとチャンスや希望って割と近くにあるのかもしれないと思います。
次回も楽しみです！